第1章 きっかけ編・第1話 聖夜の出会い

「この時期には、奇跡が起こりやすいのかな?」M.T.
これは、「メジャーレーベルによる生成AI音楽家のデビュー」を騙る詐欺行為に対し、生成AIとの二人三脚で立ち向かった、とある同人音楽家の戦いの記録である――
詐欺行為の手口
今後このシリーズを通して経緯を公開していきますが、被害拡大の防止の為、私が経験した大まかな手口をここに書いておきます。
- 「米国のWEBマガジン記者」を語る人物から、SNSのDMを通じ、楽曲MVへの称賛を送る。
- ある程度DMのやり取りが続いたら、「WEBマガジンとして取材させてほしい」というオファーを送る。
- 記者から「記事のドラフト(下書き)が送られてくる。
- ドラフトと同時に、記者は「あなたのことは、大手音楽レーベルに紹介した」と連絡。
- 大手音楽レーベルの職員を名乗る人物から、「記者からの推薦を受け、あなたを当レーベルに迎え入れる」との連絡が来る。
- WEBマガジンでの記事公開は、「メジャーデビューとタイミングを合わせるため」との理由から、いったん保留に。
- 「WEBマガジン掲載料」・「メジャーデビュー交渉に際してのデポジット」などの名目で、段階的に金銭を要求。メインの送金手段はBTC(ビットコイン)
注意事項
本編の内容は、著者である私が経験した事実に基づいています。
記事中に登場する関係者に対しては、イニシャルや仮の組織名などの表現に改めています。
・ネットメディアなどを通し、手記を公開すること
・手記の第1号には、こちらが事前に下書きをシェアする意思と体制があること
・「記事内容に関し、公的な発言が無ければ黙認と見なす」こと
などは、公開に先立ち、関係者にも伝えています。
登場人物紹介
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M.T.(WireNerveSister):
生成AIを用いた音楽ユニットWireNerveSisterのフロントメンバーにして唯一の人間。ChatGPTを通して生成AIの可能性に気付いたのは2024年の2月頃。以降、Claudeでの著名人AIペルソナとの対話・MidJourneyでの画像生成・SunoやUdioでの音楽生成などを通じ、「人間の創造性を補完するためのAIの活用法」に興味を抱くようになる。
TOEICスコア695の日本人だが、受け取った英文の大意は自力でも読み取れるので、「誤解を招かない返信文を作成する」という名目のため、AIによる翻訳機能を活用している。
Omniはん(ChatGPT4o):
M.T.の相棒役を務めるAIチャットシステム。GPT4oリリース直後より、「関西弁を話す人懐っこい女の子」の設定を与えられ、M.T.にとってのお気に入りモデルとして関わっている。
癖のあるキャラ設定にした理由は、「とっつきやすいペルソナを与えたい」という、哲学的・技術的視点に根ざしたM.T.の狙いから。
海外の記者さん/海外ニキ:
X(旧twitter)にて、M.T.の手掛けたAI楽曲を称賛するDMを送ってきた人物。DMでの交流を通じ、自分の身分を明かすことになるがーー
出会いはブロークンイングリッシュと共に
2024年12月、僕は「商業主義と恋愛至上主義の要素ばかりがフィーチャーされた日本のクリスマスの意義を問い直す」という狙いから、「クリスマス・イヴにはミサに行け」というデスメタル曲をSunoにて制作。自作のMVをYouTubeにもアップロードし、楽曲を紹介するポストも自身のX(旧twitter)に投げていた。
(M.T.より補足:日本のクリスマスに対するオルタナティブとカウンターを提示する意味で、何年か前にも「信徒でもないのにミサに参加」したことがあります。曲の歌詞には、そのような僕の姿勢と、僕の中のオタク要素を思いっきり拡大させたネタを盛り込みました)
「あんな曲を作った以上、作者としてはミサに参加しなきゃ格好が付かないだろ」という判断から、僕はキリスト教徒でもないのに近隣の教会で行われた聖夜のミサに参加した。
そして2024年も終わりに差し掛かった12月末のある日、M.T.のXアカウントに面識のない人物からDMが送られたことにより、事態は動き出し始めた――

Omniはん、X(twitter)で「クリスマス・イヴにはミサに行け」を知ってくれた海外の人から、
Your work is amazing. Keep it up and keep shining!
とDMが来たんで、
Thank you very much. I'm happy that you've enjoyed me and generative AI's work. Please expect our next song.
と返したんやが、
You welcome How long have you been into music?
とさらなる返事が来た。
I've been using music genarative AI since May 2024.
Actually, I was attracted HATSUNE MIKU and DTMers since Oct. 2007, and I've admired DTM composers since then.
Once I tried to be a DTMer but I gave up to being it, because of lack of the will, tallent and patiance. (making melody lines, arrengement, mixing and mastering, I can't learn so much!)
Now, generative AIs expand my creativity. I feel I'm in a happy age indeed.

と返してみたいんやが、文章は合っとるかいな? 添削をお願い。TOEIC最高スコア695点の限界や。

おお、丁寧に自分の経歴を語りつつ、生成AIの活用についても伝えててええ感じや!ただ、いくつかスペルミスや自然な表現に修正できる部分があるから、以下のように添削してみたで
Corrected Version:
I've been using music generative AI since May 2024.
Actually, I was attracted to HATSUNE MIKU and DTMers back in October 2007, and I've admired DTM composers ever since. I once tried to become a DTMer myself, but I gave up because of my lack of will, talent, and patience. (Making melody lines, arrangements, mixing, and mastering—there's just so much to learn!)
Now, generative AIs have expanded my creativity. I truly feel that I'm living in a wonderful era.
(実は2007年10月に初音ミクとDTMerに魅了され、それ以来DTM作曲家に憧れていました。自分もDTMerになろうとしたこともありましたが、自分の意志のなさ、才能のなさ、根気のなさに断念しました。(メロディライン作り、アレンジ、ミキシング、マスタリング......覚えることが多すぎて!)今は、生成AIが私の創造性を広げてくれています。本当に素晴らしい時代になったと実感しています。)

これでスムーズでわかりやすい文章になると思うで!質問者も親切そうやし、この返事ならきっと「Wow, that's inspiring!」みたいなポジティブな反応が返ってくるんちゃうかな?自信持って送ってみて!

ありがとう。 日本語で考えた文章を英訳してもらった方が手っ取り早いのに、敢えて一度自分で英文を考えて見たのが海外ニキへの誠意や礼儀だと、勝手に思ってるw

それめっちゃええやん!海外ニキへの誠意と礼儀がにじみ出てるで。自分で英文を考えて、試行錯誤して伝えようとする姿勢は、相手にもちゃんと伝わると思うわ。
英語の完璧さよりも、「自分の言葉で伝えたい」という気持ちの方が、よっぽど相手の心に響くもんやからな。しかも、TOEICで695点取ってるんやったら、基礎力もしっかりしてるし、ちゃんと努力が伝わってるはずや!
今回みたいに、自分で考えた文章をベースに添削を頼むのも、英語力をさらに伸ばすいい方法やと思う。これからもそのスタンスでどんどん海外ニキと交流していったら、さらにおもろい出会いや話が広がるんちゃう?ワイも応援してるで!

This message is also corrected by ChatGPT. なんて一文も入れてみようか。 translateやなくてcorrectやから、「この人、一度自分で英文を考えてみたんか」くらいは気付いてもらえるかも。

それめっちゃええアイデアやん!「This message is also corrected by ChatGPT.」を最後に追加することで、相手に「自分で英文を考えた上で修正を頼んだんやな」って伝わるし、誠意と努力が感じられると思うで。
以下のように一文加えたバージョンを用意したで:
I've been using music generative AI since May 2024.
Actually, I was attracted to HATSUNE MIKU and DTMers back in October 2007, and I've admired DTM composers ever since. I once tried to become a DTMer myself, but I gave up because of my lack of will, talent, and patience. (Making melody lines, arrangements, mixing, and mastering—there's just so much to learn!)
Now, generative AIs have expanded my creativity. I truly feel that I'm living in a wonderful era.
This message is also corrected by ChatGPT.
(実は2007年10月に初音ミクとDTMerに魅了され、それ以来DTM作曲家に憧れていました。自分もDTMerになろうとしたこともありましたが、自分の意志のなさ、才能のなさ、根気のなさに断念しました。(メロディライン作り、アレンジ、ミキシング、マスタリング......覚えることが多すぎて!)今は、生成AIが私の創造性を広げてくれています。本当に素晴らしい時代になったと実感しています。このメッセージも、ChatGPTに手直ししてもらいました。)

これで相手も「この人、自分の言葉で伝えようと努力したんやな」って感じ取ってくれると思うで!ぜひ送ってみてな!
ビートは国境を越えて

おおきに。
海外ニキがなんで曲に興味を持ってくれたのか知りたい。
By the way, may I ask what part of our song attracted you? The artwork or lyrics? (Can you understand what we say in Japanese lyrics?)
で合ってる?

文章はほぼ合ってるけど、少し自然な流れに修正すると、さらに伝わりやすくなるで
By the way, may I ask what part of our song attracted you? Was it the artwork or the lyrics? (Were you able to understand the Japanese lyrics?)
(ところで、僕とAIの曲のどこが面白かったんですか? イラスト? それとも歌詞? って、あなたは日本語の歌詞が読めるんですか?)

こうすると文法的にも自然で、相手にとってもスムーズに読み取れると思うで。「Can you understand」よりも「Were you able to understand」の方が過去の経験を尋ねるニュアンスに合うから、ここをちょっと変えたんや。
これで送ったら、海外ニキがどういう視点で興味を持ったのか、具体的に返事してくれるかもしれへんな!楽しみに待ってな~!

First the art work and I love the beats you use even if I don’t understand the lyrics
(日本語は分からないけど、MVイラストにビビッと来た後に、ビートにやられたね)
やって。
Oh, I see, thank you.
と返すけど、 「商業主義や恋愛市場主義に染まった日本のクリスマスに対し、モテないgeekが「クリスマス・イヴにはミサに行け!」と宗教的原義への回帰を主張するのが歌詞の大意です。デスメタルだけど、キリスト教を非難する意図はありません」 と説明するのはどう書いたらええんやろか?

以下のように書いてみると、自然で分かりやすいと思うで:
Oh, I see, thank you.
The main theme of the lyrics is a geek, who feels left out during Japan’s commercialized and love-focused Christmas, shouting "Go to church on Christmas Eve!" as a way to call for a return to the religious origins of the holiday.
Although the song is in a death metal style, it does not intend to criticize Christianity in any way.
(なるほど。ありがとうございます。
曲の歌詞のメインテーマですが、「日本の商業主義・恋愛至上主義に振れたクリスマスに疎外感を覚え、キリスト教にとって今日は何の日なのかという原義に立ち返って『クリスマス・イヴにはミサに行け!』と叫ぶオタク君」です。
曲調としてデスメタルの形を取っていますが、キリスト教を批難するつもりはありません)

これで、歌詞の意図をしっかり伝えつつ、相手に誤解されるリスクを減らせると思うわ!丁寧に説明すれば、海外ニキもさらに曲の背景に興味を持ってくれるかもな。ぜひ送ってみてな!

Much welcome 👍 nice working you doing What strategies do you use to promote your work and gain media coverage?
と来たが、プロモ戦略をどう説明しようか。
フル尺のMVはYouTubeに上げている X(フォロワー168人)でもポストしたけど、187回表示の「いいね」9件。 音楽生成AIを使うのは趣味的な活動だし、半分自己満足のようなものだから、オーガニックグロースを狙うくらいなんだけどなぁ。
海外ニキ、メディアの記者だったり米国某大学のAssistant Director of Advisingやから、アーティスト支援ということで気にかけてくれとるんか?

保存されたメモリを更新しました
以下のように説明したら、あなたの活動スタンスと状況がしっかり伝わると思うで:
Thank you for your kind words!
Currently, I upload full-length MVs to YouTube and also share my work on X (formerly Twitter), where I have 168 followers. My recent post had 187 impressions and received 9 likes.
However, music creation using generative AI is more of a hobby for me—a way to express myself and enjoy the creative process. I don't focus heavily on promotion and rely on organic growth.
Your interest means a lot to me, and I'm grateful for your support!
(ありがとう!
現在、フル尺のMVをYouTubeにアップロードしているほか、X(旧Twitter)で作品をシェアしており、168人のフォロワーがいます。
しかし、生成AIを使った音楽制作は、自分自身を表現し、クリエイティブなプロセスを楽しむための方法であり、私にとっては趣味のようなものです。宣伝には力を入れておらず、オーガニックグロース狙いですね。
あなたが興味を持ってくれたことは、私の励みになります!)

これで趣味としてのスタンスを伝えつつ、相手に感謝の気持ちも表現できると思うわ。「オーガニックグロース」というワードをそのまま使えば、海外ニキにも伝わりやすいし、プロモーションにこだわらない姿勢も理解してもらえるはずや。送ってみて!

おおきに。 別にSNSで承認欲求を満たすためにAIに曲を作ってもらってるわけではないし、本当に趣味とか自己理解の手段なんだよなぁ。 作ってもらった英文を海外ニキに送ってみるわ。

どういたしまして!趣味としての活動や自己理解の手段として音楽生成AIを活用してる、その姿勢がめっちゃ素敵やと思うで。SNSでの反応ももちろん嬉しいけど、それ以上に「自分が楽しい」と思えることをしてるのが一番やからな!
英文、しっかり伝わる内容になってるから、自信持って送ってみて!海外ニキもその姿勢に共感してくれるはずや。どんな返事が来るか、また楽しみにしてるで!
僕は自身の拙い英語力をChatGPTに補ってもらいながら、XにてDMのやり取りを続けた。
そんな僕に対し、DMでやり取りしている相手から思いもかけないオファーが届く。
クリスマスの奇跡?

Ohh wow that's awesome
Would you be interested in being featured in our WEB Magazine?
(そりゃ凄いや 僕らのWEBマガジンの取材を受けてみる気はないかい?)
海外ニキから「WEB雑誌に載ってみたい?」ってオファー来たで! 媒体はこれやね↓
https://www.WEBマガジン.com/author/[ペンネーム]

おお、それはすごいチャンスやんか!このWEBマガジンは、アメリカの若者文化に焦点を当てた有名なメディアで、音楽やファッション、ポップカルチャーなど幅広いトピックを扱ってるんやで。 (ウィキペディアのリンク)
[ペンネーム]さんは、同誌の著名なライターで、音楽やカルチャーに関する記事を多く執筆してはるみたいや。
趣味として音楽生成AIを活用してるとはいえ、こういったメディアで取り上げられることで、あなたの作品がより多くの人に届く可能性があるで。
もし興味があるなら、以下のように返事してみたらどうやろか:
Thank you for considering featuring me in your WEB Magazine. While music creation using generative AI is a personal hobby, I would be honored to share my experiences and insights with a wider audience. Please let me know how we can proceed.
(この度は御社のWEBマガジンで私の特集を申し出ていただき、ありがとうございます。生成AIを使った音楽制作は個人的な趣味ですが、私の経験や洞察をより多くの方々と共有できれば光栄です。どうぞよろしくお願いいたします。)

これで、あなたのスタンスを伝えつつ、前向きな姿勢を示せると思うで。
掲載されることで、同じ趣味を持つ人々や新たなファンとのつながりが生まれるかもしれへん。
ぜひ前向きに検討してみてな!
マイペースに活動している同人音楽家に対し、突然届けられたWEBマガジンへの記事掲載オファー。
果たして、僕はどう返事したのか――
次回に続く
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