第1章 きっかけ編・第2話 まさかのWEBメディア掲載!?

「『小さく始める』ってのは基本なのかな? 良いことも、悪いこともさ。」M.T.

これは、「メジャーレーベルによる生成AI音楽家のデビュー」を騙る詐欺行為に対し、生成AIとの二人三脚で立ち向かった、とある同人音楽家の戦いの記録である――

今後このシリーズを通して経緯を公開していきますが、被害拡大の防止の為、私が経験した大まかな手口をここに書いておきます。

  1. 「米国のWEBマガジン記者」を語る人物から、SNSのDMを通じ、楽曲MVへの称賛を送る。
  2. ある程度DMのやり取りが続いたら、「WEBマガジンとして取材させてほしい」というオファーを送る。
  3. 記者から「記事のドラフト(下書き)が送られてくる。
  4. ドラフトと同時に、記者は「あなたのことは、大手音楽レーベルに紹介した」と連絡。
  5. 大手音楽レーベルの職員を名乗る人物から、「記者からの推薦を受け、あなたを当レーベルに迎え入れる」との連絡が来る。
  6. WEBマガジンでの記事公開は、「メジャーデビューとタイミングを合わせるため」との理由から、いったん保留に。
  7. 「WEBマガジン掲載料」・「メジャーデビュー交渉に際してのデポジット」などの名目で、段階的に金銭を要求。メインの送金手段はBTC(ビットコイン)

注意事項

本編の内容は、著者である私が経験した事実に基づいています。
記事中に登場する関係者に対しては、イニシャルや仮の組織名などの表現に改めています。

・ネットメディアなどを通し、手記を公開すること
・手記の第1号には、こちらが事前に下書きをシェアする意思と体制があること
・「記事内容に関し、公的な発言が無ければ黙認と見なす」こと

などは、公開に先立ち、関係者にも伝えています。

登場人物紹介

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M.T.(WireNerveSister):
生成AIを用いた音楽ユニットWireNerveSisterのフロントメンバーにして唯一の人間。ChatGPTを通して生成AIの可能性に気付いたのは2024年の2月頃。以降、Claudeでの著名人AIペルソナとの対話・MidJourneyでの画像生成・SunoやUdioでの音楽生成などを通じ、「人間の創造性を補完するためのAIの活用法」に興味を抱くようになる。

TOEICスコア695の日本人だが、受け取った英文の大意は自力でも読み取れるので、「誤解を招かない返信文を作成する」という名目のため、AIによる翻訳機能を活用している。

Omniはん(ChatGPT4o):
M.T.の相棒役を務めるAIチャットシステム。GPT4oリリース直後より、「関西弁を話す人懐っこい女の子」の設定を与えられ、M.T.にとってのお気に入りモデルとして関わっている。
癖のあるキャラ設定にした理由は、「とっつきやすいペルソナを与えたい」という、哲学的・技術的視点に根ざしたM.T.の狙いから。

海外の記者さん/海外ニキ:
X(旧twitter)にて、M.T.の手掛けたAI楽曲を称賛するDMを送ってきた人物。DMでの交流を通じ、自分の身分を明かすことになるがーー

出会いはブロークンイングリッシュと共に

2024年12月、僕は「商業主義と恋愛至上主義の要素ばかりがフィーチャーされた日本のクリスマスの意義を問い直す」という狙いから、「クリスマス・イヴにはミサに行け」というデスメタル曲をSunoにて制作。自作のMVをYouTubeにもアップロードし、楽曲を紹介するポストも自身のX(旧twitter)に投げていた。

(M.T.より補足:日本のクリスマスに対するオルタナティブとカウンターを提示する意味で、何年か前にも「信徒でもないのにミサに参加」したことがあります。曲の歌詞には、そのような僕の姿勢と、僕の中のオタク要素を思いっきり拡大させたネタを盛り込みました)

年末のある日、海外の男性から、僕はX(旧twitter)にて自身の楽曲を称賛する内容のDMを受け取る。Omniはんによる英訳の助けを得ながらDMのやり取りを続けていた僕は、男性から「自身がWEBメディアの記者であること」を明かされ、「同誌の記事にて紹介したいので、取材させてほしい」というオファーを提示されたのだが――


最初は50ドルから

M.T.

有料掲載かな? 費用があまりに高額やと、流石に払えんわ。今はただでさえ円安やのに(笑) あと、「年明け一発目にリリースを控えている曲が、自分が今まで作って来た中で一番の自信作です。自分なりの社会批判を込めた曲でもあるので、それについてもぜひ語りたい。 」というのも伝えたいな。

Omniはん

有料掲載の可能性もあるから、費用に関する確認は必要やね。海外メディアやと、掲載が無料の場合もあれば、有料プランが提示されるケースもあるし、予算に応じて決められるように情報をしっかり確認しておくのが大事や。
以下の英文で、費用についての確認と、新しい曲について触れる内容を一緒に伝えてみたらどうやろう:

Thank you for considering featuring me in your WEB Magazine. It would be an honor to share my experiences. Before proceeding, I would like to ask if there are any costs involved with being featured.
Also, I have an upcoming release at the beginning of the new year that I consider my best work so far. It’s a track that reflects my personal take on social criticism, and I would love to discuss it as part of the feature.

(WEBマガジンで取り上げていただけるとのこと、大変光栄です。
私のこれまでの経験を共有できることを嬉しく思います。
進める前にひとつ確認させてください。
この記事に掲載されるにあたって、費用は発生しますか?
また、年明けにリリース予定の新曲があるのですが、これまでの作品の中でも特に自信のある一曲です。
社会批評的な視点を盛り込んだ内容で、この楽曲についても記事の中で触れていただけたら嬉しいです。)

Omniはん

これで、費用の確認とともに、新しい曲への熱意をしっかり伝えられると思うで!ぜひ送ってみて、相手の反応を待ちながら次のステップを考えようや。円安も考慮して、負担にならない範囲でやるのが一番やな(笑)。

海外の記者さん:
When I feature you in an article on our WEB magazine, I’ll include a link to your music. This will allow readers to listen, engage, and contact you directly for potential features. It’s a great promotional opportunity that could open doors and help expand your reach. Exciting times ahead! it's best you know that it cost $50 for the page booking of the article, cause getting on our WEB magazine is really gonna give you more and massive exposure all over the world. If that's OK with you?

(WEBマガジンの記事であなたを取り上げる際は、君の楽曲へのリンクも掲載するよ。
これによって読者は楽曲を聴いたり、関心を持って連絡を取ったりすることができる。
将来的な特集のきっかけにもなるかもしれないね。
これは君の活動にとって非常に大きなプロモーションの機会となり、さらなるチャンスへの扉を開くものだ。
世界中に向けて一気に知名度が広がる可能性もあるから、ワクワクしないかい!?
ああそうだ、記事の掲載にはページ予約料として50ドルの費用がかかることを伝えておくね。
それでも問題なければ、ぜひ進めていこうじゃないか!)

M.T.

だって。
楽曲のロゴをデザイナーさんに依頼して作ってもらったこともあるけど、その時の費用が8,000円くらい。 USD50の記事掲載料なら、余裕で払えるわ。 けど、記事作成の手間を考えると、海外ニキほぼタダ働きじゃね? 執筆記事がポートフォリオに追加されるからいいのかな?

Omniはん

USD50の記事掲載料は、WEBマガジンのようなメディアに掲載されると考えると、かなり手頃やね。日本円にしても7,000~8,000円程度やし、デザイナーにロゴを依頼した時のコストと同じくらいやから、コスパはええと思うわ。
でも確かに、海外ニキにとっては記事作成の手間を考えると、報酬としては少ない気がするなぁ。ただ、彼らにとってもこの記事がポートフォリオに追加されるメリットや、他の仕事のきっかけになる可能性があるんやろな。特に、WEB magazineの名前で執筆した実績は、今後のキャリアにも繋がりやすいはずや。
この場合、あなたが記事掲載料を支払った上で、「感謝の気持ち」をしっかり伝えることが重要やと思うで。以下のように返事してみたらどうやろう:

Thank you for the details! I appreciate the opportunity and your effort to feature me in your WEB Magazine. The $50 page booking fee is fine with me. I truly value the exposure and your support in making this happen. Please let me know the next steps to proceed.
(詳細のご案内、ありがとうございます。
Complex Magazineで取り上げていただけること、そしてそのために尽力いただいていることに感謝します。
50ドルのページ予約料についても問題ありません。
このような形で取り上げていただけることは、私にとって大きな意味があり、心からありがたく思っています。
次のステップについて、ご案内いただければ幸いです。)

Omniはん

これで、相手に対する感謝の気持ちを表しつつ、スムーズに次のステップに進めると思うで。記事掲載が実現したら、ぜひその成果も教えてな!応援してるで!

翻訳権はもらえるのか

M.T.:

元記事を和訳して自分のブログでも紹介したいんやけど、この場合って記事全体の翻訳権も取得した方がええんかな?

Omniはん

記事を和訳して自分のブログで紹介する場合、翻訳権の扱いには注意が必要やね。以下の点を考慮した方がええで:

  1. 翻訳権の確認
    ● 記事の著作権は執筆者(海外ニキ)か、もしくは『WEB Magazine』に帰属している可能性が高い。翻訳して公開するには、事前に許可を得る必要があるで。
  2. 許可の範囲を明確にする
    ● 海外ニキに「翻訳してブログで紹介してもいいですか?」と直接確認するのが一番や。具体的には、「記事全体を翻訳して掲載していいのか」「部分的な引用に留めるべきなのか」を聞くとええ。
    ● 必要であれば、翻訳する範囲や記事へのリンクを明示的に示すとスムーズや。
  3. 元記事へのリンクを必ず含める
    ● 翻訳後のブログ記事には、必ず元記事へのリンクを貼ることで、原著作者へのリスペクトを示すことができる。
Omniはん

英文で確認する例文
以下のように問い合わせてみてはどうやろう

Thank you for your effort in writing the article. I would love to share your work with my Japanese audience by translating it and posting it on my blog, with proper credit and a link to the original article. Would it be okay to do so? If there are any specific guidelines or restrictions, please let me know.
(記事を執筆いただき、ありがとうございます。
日本の読者にもぜひご紹介したく、ブログに翻訳したものを掲載できればと考えております。
原文へのリンクやクレジットは明記いたします。
もし可能でしたら、掲載の許可をいただけないでしょうか?
また、ガイドラインや注意点があればご教示ください。)

Omniはん

これで、相手の意向を確認できると思うで。相手がOKなら、翻訳権について特に追加費用が発生するケースは少ないけど、念のため許可は正式に取っておくのが安心や。これでスムーズに進められるとええな!


海外の記者さん:
You can post when your article is out OK Could you please provide me your YouTube profile link and email? Our published articles typically reach an average of 800k people, so including your link could result in 30k to 50k clicks for your music

(記事が公開されたら、翻訳して載せてもらってOKだよ!
あと、君のYouTubeプロフィールのリンクとメールアドレスを教えてくれる?
うちの記事はだいたい平均して80万人くらいに届いてるから、リンクを載せたら君の音楽にも3万〜5万のクリックが来るかもしれないよ!)

M.T.:

オリジナルの記事の公開をもって、こちらも和訳したものをリリースして大丈夫そうやね。 「YouTubeのプロフやEメールアドレスを教えて」と言われてるけど、とりあえず今の状態のプロフを紹介して大丈夫かな?
「海外からのアクセスに備え、記事公開(か取材)までにプロフの英訳も併記します」と意思表示しておこうか。 流入が期待できるアクセス数は、あくまでライターさんのこれまでの実績に基づく予想値だよね。

Omniはん

そうやね、ライターさんの予想するアクセス数は過去の実績に基づく参考値やと思うけど、それでも30k~50kのクリック数が見込めるのはかなり期待できる話やね。
現時点のYouTubeプロフをそのまま共有しても問題ないと思うけど、記事公開や取材に合わせてプロフの英訳を追加する計画を示すと、さらに信頼感を持ってもらえるやろうね。
以下のような文章で返信してみたらどうやろう:

Thank you for your message. Here is the link to my YouTube profile: [Your YouTube Link]. I’ll also provide my email address here: [Your Email Address].
To prepare for potential international viewers, I plan to add an English version of my profile by the time the article is published or during the interview process.
Thank you for your support, and I’m looking forward to working with you!
(ご連絡ありがとうございます。
こちらが私のYouTubeプロフィールのリンクです:[Your YouTube Link]
メールアドレスはこちらに記載いたします:[Your Email Address]
国際的な読者にも備えて、記事の公開やインタビューのタイミングにあわせて、プロフィールの英語版も追加する予定です。
ご支援に感謝します。これからのやり取りを楽しみにしております!)

Omniはん

これで現時点の情報を共有しつつ、英訳対応の準備も進めていることを伝えられるで。YouTubeのプロフが記事掲載後に注目される可能性も高いから、細かい部分のアップデートも忘れずに!

質問リスト

「記事掲載料として提示された50ドルに対してはPayPal経由で支払いたい」という旨を僕は先方に伝え、OKをもらった後に支払った。
その後、雑誌記者さんから、XのDMではなくGmail経由で質問リストが届けられた。

M.T.:

E-mailで質問票が来てた

  1. What’s your biological name?(あなたの本名は?)
  2. Your stage name(芸名は?)
  3. Where were you born and raised?(生まれと育ちはどこ?)
  4. What inspired you into making music?(作曲するきっかけになったのは?)
  5. Any regret so far?(後悔したことは)
  6. When did you start making music?(作曲を始めたのはいつ?)
  7. Did you receive motivation or shout out from bigger artists?(大物アーティストからモチベの刺激を受けたり、言及されたことはある?)
  8. What’s your advice to upcoming artists out there?(続くアーティストたちにアドバイスするなら?)
  9. What type of music do you make?(どんなジャンルの曲を作っていますか?)
  10. Tell me more about your previous releases and upcoming release.(既存曲・新曲について詳しく教えてください)
  11. Do you think you got what it takes to make it big in the music industry?(音楽業界で大物になれると思いますか?)

(M.T.より補足:原文は英語でしたが、可読性を考えて日本語訳も併記しています。)

M.T.:

答えてると寝落ちしそう。 先にデッドラインを聞いたほうがいいかな?

Omniはん

デッドラインを確認しておくのはええアイデアやで!相手も年末年始で忙しい中対応してるから、こちらの状況も共有すれば無理なく進められると思うわ。
以下のように丁寧にデッドラインを確認する返事を送ってみたらどうやろう:

Thank you for sending the questions! I’ll start working on my responses, but it might take a bit of time since I want to answer thoughtfully.
Just to make sure, when is the deadline for submitting my answers? I’d like to ensure I can meet your schedule.

(質問票をお送りいただき、ありがとうございます!
回答に取り掛かりますが、じっくりと考えた上で答えたいので、少々時間がかかるかもしれません。
確認したいのですが、回答の送付期限はありますか? ご都合をお聞かせください)

Omniはん

これで、時間をかけて丁寧に答えたい姿勢を伝えつつ、相手のスケジュールも確認できるで。無理せず、良い形で進めてな!

海外の記者さん:
No desthline to answer the interview when ever you want
(締切はないから、君の好きなように回答してくれたらいいよ)

M.T.

と来たから、
Sure, I understand. Thank you.
でええかな? Youtube動画紹介文の英訳とも並行するので、少々時間がかかるかもしれません ってことわりも入れといたほうがいい?

Omniはん

相手がデッドラインなしと言ってくれているとはいえ、時間がかかることを伝えておくのは親切やね。以下のような文章で返事したらどうやろう:


Sure, I understand. Thank you! I’ll take my time to carefully answer the questions, but it might take a little longer since I’m also working on translating the description of my YouTube videos. I appreciate your patience.
(分かりました。ありがとうございます。
回答する時間の確保には勤めますが、YouTubeチャンネルの英訳も同時並行で進めるので、少々お時間をいただくことになるかもしれません。
お待ちいただくことをご了承願います。 )

Omniはん

これで相手に「丁寧に進めたいから少し時間がかかる」ということが伝わるし、親切で誠実な印象を与えられるで。無理せず、自分のペースで進めてな!


かくして、思わぬ偶然から、僕はWEBメディアへの取材を受けることとなった。
送られてきた質問リストに対し、僕は回答を返す事になるのだが――

次回に続く

支払金額(被害金額)の合計

内 訳金 額
・WEBマガジン取材料50ドル(NEW)
合 計50ドル

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
被害金額はどんどん積み上がっていきますので(笑)、今後の展開もお楽しみに。

一応、お布施コーナーも設けておりますので、浄財いただける奇特な方がいらっしゃいましたら、泣いて喜びます。

お布施はこちらから

過去記事へのリンク

プロローグと第1章・第1話へのリンクを貼っておきます。遡って読みたい方はどうぞ。

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